生命保険の税務における重要事項として、個人で生命保険に加入する場合の「生命保険料控除」と、法人が加入する「逓増定期保険」についてご説明いたします。
⑴生命保険料控除
①概要
所定の生命保険契約を締結して保険料を支払うと、その年の支払い保険料に応じて、一定の額がその都市の契約者(保険料の負担者)の所得から控除されます。
これによって課税対象である所得(課税所得)が減るため、その分だけ所得税と住民税が軽減されます。
平成24年1月以降の締結契約(新契約)においては、「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」があります。
②対象となる契約
生命保険料控除の対象となる保険契約は保険金などの受取人が、契約者本人またはその配偶者もしくはその他の親族となっている契約です。
ただし、財形貯蓄制度に利用される保険や、保険期間が5年未満の貯蓄保険などは対象から除かれますので注意が必要です。
③所得税の控除
所得税では「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」について、それぞれ年間正味払込保険料の80,000円までが控除の対象となり、実際に控除される金額はそれぞれ最高40,000円(合計で最高120,000円)となります。
④住民税の控除
住民税では「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」について、それぞれ年間正味払込保険料の56,000円までが控除の対象となり、実際に控除される金額はそれぞれ最高28,000円(合計で最高70,000円)となります。
⑵逓増定期保険
①概要
逓増定期保険とは、保険期間が終了するまでに、保険金額が契約当初の金額から5倍まで増加する「定期保険」を言います。
定期保険ですので、満期保険金はなく、原則としては掛け捨てになりますが、解約返戻率が早い段階から高いため、解約をすることを前提としています。
②用途
逓増定期保険は、加入時に一定額の益金を、解約して解約返戻金を受け取る時まで繰り延べる効果があります。解約返戻金を受け取る年に、解約返戻金の額を上回る損金が出ていれば、課税はされません。
そのため、財務基盤を強化することができます。
③損金処理
逓増定期保険には一般的な(ⅰ)1/3損金タイプと、(ⅱ)1/2損金タイプ、(ⅲ)全額損金タイプがあります。少しでも損金に入れられることが法人経営上は望ましいことではありますが、それぞれ利用条件が異なりますので、しっかりと確認するようにしましょう。
(ⅰ)1/3損金タイプ
保険期間満了の時に被保険者の年齢が45歳を上回ることが条件です。
解約返戻金の額は加入から20年程度で最も高くなります。
条件が簡単である一方、損金の算入比率は低い。
ただし、解約返戻率が最も高いときであれば100%を上回るという特徴がある。
(ⅱ)1/2損金タイプ
加入年齢に関する規定はございません。
解約返戻金の額は加入から5~10年後に最も高くなります。
(ⅲ)全額損金タイプ
加入前に35歳以下でなくてはなりません。
5年前後で解約返戻金が最も高くなるものが多くなっています。
4~5年後に明確な使途がある場合に有意義。
損金に算入できる比率が高いほど、条件が厳しくなっています。
保険税務の中でも法人保険の損金処理は特に複雑ですので、ぜひ税理士にご相談ください。篠田会計事務所は保険税務に自信のある税理士ご相談ください。
当事務所は兵庫県神戸市、芦屋市、明石市、西宮市などにお住いの皆様の保険税務に関するお悩みに向き合っています。
保険に関する各種控除や、損金の算入方法など、保険税務に関する疑問をお持ちの皆様はぜひ、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
生命保険の税務
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